こんにちは、おうどんです🍜
ななみさん、このだし、熟成4年って書いてあるんだけど
昨日の夜に取っただしですよね
ラベルだけ4年寝かせた
(会話と、この記事の「盛って」と言われる場面は説明用に作ったものです。おうどんの1社目・2社目の話は実話です)
SES の業界で、スキルシートの経験年数を盛る話は、ずっと絶えません。
経歴詐称の境目の記事では、どこからが詐称か、を書きました。
その記事の最後で「断ったらどうなるか、断れないときにどう身を守るかは別の記事で」と書いていたのが、今日の話です。
おうどんは2社目で、経験年数を4年くらいに盛られそうになって、断りました。
返ってきたのは「じゃあ仕事ないよ」。
待機期間のあと、クビになりました。
読者「……え、断った人が負けてませんか」
負けたかどうかは、今もよく分かりません。
ただ、断るとこうなることもある、を知ったうえで、断り方と身の守り方を知っておいてほしいんです。
先に結論です。
- 盛ってと言われたら、その場で「はい」と言わない。事実で返し、代わりの書き方を出す
- 言われたこと・自分が返したことを、日時つきで残す。できればメールで確認しておく
- 断ったあとに待機や解雇の話になったら、ひとりで抱えず、労働局の総合労働相談コーナー(無料・予約不要)に相談できる
- 断れない立場の人もいる。そのときは、記録を残しながら、力をつけて出口を作る
(業界の見方はおうどんの考えです。制度の話は、条文と厚生労働省のページを確かめた範囲だけ書きます。法律相談ではないので、実際に困っている人は労働局や弁護士に相談してください)
「盛って」は、たいていやわらかい言葉で来る
熟成4年のラベルは、だいたい「ちょっとだけ」の顔でやってきます。
(ここからの言い方は説明用の架空の例です)
- 「経験年数、4年ってことにしといて。だいたい合ってるでしょ」
- 「見てただけの案件も、経験に入れていいから」
- 「面談で聞かれたら、できますって言っておいて」
- 「リーダー経験、ありにしておくね。後輩に教えてたんでしょ?」
営業「みんなやってるから大丈夫だよ」
みんながやっているなら、それは業界の闇の深さの話で、大丈夫の根拠ではありません。
言い方がやわらかいほど、断る側は「自分が大げさなのかな」と思ってしまいます。
なので、何を変えようとしているかで分けておくと、迷いにくくなります。境目の考え方は前の記事と同じです。
| 言われたこと | 変わるもの | おうどんの見方 |
|---|---|---|
| 経験年数を切り上げる・足す | 期間 | 事実と違う年数は詐称の側。断る |
| 見ていただけの技術を経験に入れる | 技術 | 「触った」「学んだ」なら、そう書けば十分 |
| 面談で「できます」と言わせる | 面談での答え | 答えるのは本人。断る |
| 後輩に教えた経験をリーダーと書く | 役割 | 「後輩の指導」と書けば事実のまま強く見せられる |
実際は3年11か月なのに、4年と書かれていたら?
3年11か月に戻そう。それなら、ラベルも中身と同じ
年数を少し減らせばいい、ではなく、実際の期間に合わせるのが大事です。
おうどんは、1回目は従い、2回目は断った
ここは、おうどんの実話です。
1社目のときは、業界のこともよく分かっていませんでした。
研修の途中で現場に出されて、スキルシートには、自分では書いていないことが書かれていた。
どんな業界かも分からないまま、従うしかありませんでした。そうしないと、生きていけなかったんです。
2社目では、経験年数を4年くらいに盛られそうになりました。
今度は断りました。
「じゃあ仕事ないよ」と言われ、待機期間のあとにクビになりました。
熟成ラベルを断ったら、店ごと追い出された
たとえが急に重いです
ラベルの貼り直しならまだしも、店ごととなると、のれんの外です。たとえにしても、ここだけだしがしょっぱい。
そのクビが法的にどうだったのかは、ここでは書きません。おうどんにも判断できないからです。
書きたいのは、断るとこうなることもある、という事実のほうです。
だから、この記事は「断れば大丈夫」とは言いません。
断れない立場の人がいることも、分かっています。1社目のおうどんが、そうでした。
ただ、断る人も、断れない人も、自分を守る手は打てます。それを次から並べます。
その場での返し方:事実で返して、代わりの書き方を出す
断るときに、相手を論破する必要はありません。
「その年数は書けません」と「代わりにこう書けます」をセットで出すのが、おうどんのおすすめです。
だしでいえば、「熟成4年とは書けません。でも、今朝取った一番だしです、なら書けます」。
返し方の例
- 「経験年数は、実際の◯年◯か月で書かせてください。そのかわり、担当した作業を具体的に書きます」
- 「その技術は、触ったことはありますが、仕事で担当してはいません。『学習中』なら書けます」
- 「面談で聞かれたら、できる範囲を正直に答えます。その分、できることの説明は準備しておきます」
- 「すぐにはお返事できないので、いったん持ち帰らせてください」
最後の「持ち帰る」は、地味に強いです。
その場で言い返せなくても、「いったん持ち帰ります」と伝えて、返事を保留にできます。
営業「じゃあ、ほかの人を出すしかないね」
それは、ほかの人の年数が本当なら、仕方ないです
言い返しているようで、ちゃんと事実の話しかしていない。ここがポイントです。
代わりの書き方を出す
断るだけだと、相手は「仕事が取れない」という問題を抱えたままです。
なので、事実のまま強く見せる書き方を、こちらから出します。
- 期間は月まで書く(「約4年」より「3年2か月」のほうが信用される、とおうどんは思っています)
- 作業を動詞で書く(「設計」より「テーブル定義書を作り、レビューで指摘を直した」)
- できることと、学んでいることを分ける
詳しい書き方は経歴詐称の境目の記事にまとめています。
動詞で書くと、急に仕事ができる人みたいになりますね
できたことを、できたとおりに書いているだけですよ
盛らなくても、書き方で見え方は変わります。ラベルを貼りかえるより、中身の説明を丁寧にするほうが、あとで困りません。
記録の残し方:言われたことを、メールで確かめておく
口で言われたことは、あとで「そんなこと言ってない」になりがちです。
なので、言われた日のうちに、確認のメールを送っておくのがおすすめです。
確認メールの例
件名:スキルシートの経験年数について(確認)
〇〇さん
本日(10月30日)のお打ち合わせで、
スキルシートの◯◯の経験年数を「4年」と記載するようお話がありました。
私の実際の経験は◯年◯か月のため、
スキルシートには実際の期間で記載させてください。
担当した作業は、より具体的に書き直して、明日までにお送りします。
よろしくお願いいたします。
ポイントは3つです。
- 言われたことを、責める言い方にせず、事実として書く
- 自分がどうしたいかを書く
- 代わりに何をするかを書く
読者「こんなメール送ったら、角が立ちませんか」
角は立つかもしれません。でも、この文面なら、立つ角はだいぶ丸い。おうどんのうどんよりは丸いです。
手元に残しておくもの
- 言われた日時・場所・相手
- 言われた言葉(「4年にしといて」「面談ではできますって言って」など、なるべくそのまま)
- 自分がどう返したか
- 自分が確認したスキルシートの版(いつ、どの内容を見せられたか)
会社の資料そのものを、個人のメールやスマホに転送・保存するのは、就業規則によっては問題になることがあります。おうどんなら、自分の言葉で書いたメモにしておきます。
録音は、どうなんですか
それは今回の資料では確かめていないので、ここでは書かない
分からないことは、分からないと言う。これも記録の一部です。
記録係なら任せて。毎日のうどんの杯数は、全部覚えてる
うどんは覚えていても、日報や月報はとてつもなく面倒くさがる人です。メモは、覚えているつもりの人ほど紙に書きましょう。
🔰 ここまで読めば今日から困らない
- 盛ってと言われたら、その場で「はい」と言わない。「持ち帰ります」でいい
- 事実の年数で書かせてほしいと伝え、代わりに作業を具体的に書く
- 言われたことと自分の返事を、日時つきで残す。確認のメールを1通送っておく
ここから先は中級者向け:断ったあとに起きうることと、相談先
ここから先は中級者向け。読み飛ばしてもOKです。
断ったあとに起きうることを、おうどんの考えで並べます(以下は一般的な想定で、すべてがおうどんの体験というわけではありません)。
- 面談に出してもらえず、待機になる
- 「やる気がない」と言われる
- 退職をすすめられる、解雇の話になる
おうどんの2社目は、待機のあとにクビ、でした。
熟成ラベルを断ったら、冷蔵庫の奥にしまわれた
冷蔵庫の奥で待っているあいだに、やっておけることがあります。
解雇の理由は、書面で求められる
労働基準法22条では、労働者が退職するときに、使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由(解雇の場合はその理由を含む)について証明書を請求したら、会社は遅滞なく交付しなければならない、とされています(1項)。
解雇を予告された日から退職の日までの間に、解雇の理由について請求した場合も同じです(2項。予告のあとに解雇以外の理由で退職した場合は、退職の日以後は交付しなくてよい、というただし書きがあります)。
口で「仕事がないから」と言われただけだと、あとで何が理由だったのか、話がずれることがあります。
理由を書面でもらっておくのは、相談するときの材料にもなります。
理由を書いてくださいって、言っていいんですね
言っていい。条文に書いてある
解雇には、理由と相当性が要る
労働契約法16条では、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効とする、とされています。
これは一般的なルールです。
「経歴を盛るのを断ったから」という事情が、ある解雇にどう評価されるかは、そのときの事情しだいなので、ここでは書きません。おうどん自身のクビについても同じです。
ただ、会社が好きな理由でいつでも解雇できる、というわけではない。それだけは知っておいてください。
総合労働相談コーナー(労働局)
困ったときの最初の窓口として、厚生労働省は各都道府県の労働局や労働基準監督署の中などに総合労働相談コーナーを置いています。ページに書かれていたのは、次のようなことです。
- 解雇・雇止め・配置転換・賃金の引下げ・募集採用・いじめ・嫌がらせなど、あらゆる分野の労働問題が対象
- 専門の相談員が、面談か電話で対応する
- 予約不要で、無料
- 労働者からも、事業主からも相談を受ける
- 法令違反の疑いがあれば労働基準監督署に取り次ぎ、裁判所や法テラスなど、ほかの紛争解決の機関の案内もしている
読者「事業主も相談できるなら、会社の人も来てるかもしれない」
来ているかもしれません。窓口は、どちらの味方というより、整理のための場所です。
土日祝日と年末年始は休みで、昼休みがある窓口が多いので、ページでは前もって電話するようすすめていました。
個別労働紛争解決制度
もめごとになったときのために、労働局には個別労働紛争解決制度があります。
| 方法 | 中身 |
|---|---|
| 総合労働相談 | 総合労働相談コーナーで相談・情報提供。制度の申込みもここで受ける |
| 都道府県労働局長による助言・指導 | 労働局長が助言・指導をする |
| 紛争調整委員会によるあっせん | 紛争調整委員会があっせんをする |
ページでは、3つとも無料で、労働者・事業主のどちらからも使えるとされています。
そして、労働者がこれらの制度を使ったことを理由に、事業主が不利益な取扱いをすることは、法律で禁止されている、とも書かれていました。
相談したのがバレて、さらに干されたらどうしようと思ってました
そこは、法律が先に手を打ってくれていますね
助言・指導やあっせんの細かい進め方(相手が参加しなければならないか、など)は、今回確かめたページの範囲には書かれていなかったので、ここでは書きません。窓口で聞いてください。
断れないときにできること
全員が断れるわけではありません。生活がかかっている人もいます。1社目のおうどんもそうでした。
そのときにできることを、おうどんの考えで並べます。
- 記録だけは残す(上の「手元に残しておくもの」)
- 面談で聞かれたら、できるだけ事実で答える。シートより小さく答えてもいい
- 自分で直せる範囲(作業の書き方など)は、事実の側に寄せて出し直す
- 力をつけて、出口を作る(次の章)
盛られたラベルのまま出すなら、せめて中身を4年ものに近づける努力を
それは、ラベルに中身が追いつく話ですね。順番は逆ですけど
順番は逆。でも、追いつけば、次は自分で選べます。
ここから先は上級者向け:「盛って」が生まれる構造と、会社を変える目安
ここから先は上級者向け。読み飛ばしてもOKです。
上級者向け、といっても、法律の細かい話ではありません。業界の仕組みと、自分の出口の話です。
なぜ「盛って」が生まれるのか(おうどんの見方)
おうどんは、こう見ています。
- 募集の条件が「経験◯年以上」のように年数で書かれていると、年数が足りないだけで面談に進めない
- SES の会社にとっては、面談に進めない人は売上にならない。だから年数を寄せたくなる
- そして、面談で答えるのは本人。盛った分の帳尻を合わせるのも、現場に出た本人
多重下請けの構造(多重下請けの記事)と同じで、上で作られた無理が、いちばん下の人に降りてきます。
読者「つまり、ラベルを貼った人は厨房にいない」
そうです。そして、お客さんの前に立つのは、ラベルを貼られた丼のほうです。
会社を変える目安
「辞めればいい」は、言うのはかんたんです。
でも、次の会社に行けるだけの力がないまま辞めると、また同じ「盛って」に出会うかもしれません。
おうどんが会社を変えると決めたのは、開発・保守・インフラ・WEB を、ひとりでこなせるようになって、ひとりでも大丈夫だと思えたときでした。
これはおうどんの目安です。全員に同じ範囲が必要という話ではありません。
自分の目安を作るなら、こんな問いが使えます(おうどんの考えです)。
- 盛らないスキルシートで、出せる案件がいくつかあるか
- 今の現場がなくなっても、半年くらいは自分で次を探せそうか
- 何ができて、何ができないかを、自分の言葉で説明できるか
全部はいになるまで待ってたら、おうどんは今も冷蔵庫の中
全部じゃなくていいんですよ。1つずつ、はいを増やせば
この問いに「いいえ」が多いうちは、記録を残しながら、力をつける時期。
「はい」が増えてきたら、自分で選ぶ時期です。
責任のある側への要求
ここは、おうどんの意見です。
本人の自衛だけで終わらせたくないので、言わせてください。
| 誰に | 何をしてほしいか |
|---|---|
| SES の会社 | 経験年数を盛れと言わない。スキルシートの最終版を本人に見せる。断った人を、待機で干さない |
| 間に入る会社 | 年数だけで足切りして、下に無理を流さない |
| 発注する側 | 「経験◯年以上」の年数だけでなく、何をしてきたかを聞く |
| 業界全体 | 盛らないと仕事が取れない状態を、普通にしない |
読者「年数で足切りしないと、応募が多すぎるのでは」
多いかもしれません。でも、盛られた年数で絞っても、絞れているのはラベルだけです。
まとめ:ラベルは今日のだしのまま、中身の説明を丁寧に
冒頭の、熟成4年のだし。
次に「4年にしといて」と言われたら、こう返せるといいですよね。
すみません、年数は実際のままで書かせてください。そのかわり、やってきたことは具体的に書きます
それなら、おうどんさんの今朝のだしも、ちゃんとおいしそうに見えますね
ついでに、うどんは大盛りで
うどんは、どうぞ盛ってください。盛っていいのは、丼の中身だけです。
年数は盛らない。中身の説明を盛る。
断ったら、仕事がなくなることもあります。おうどんはそうでした。
それでも、言われたことをメールで1通残しておくだけで、そのあとの自分を守れます。
まずは今日、自分のスキルシートの年数が、本当の年数になっているかを1回だけ確かめてみてください🍜
参考資料
- e-Gov 法令検索:労働基準法22条 — 退職時等の証明(解雇の理由を含む証明書の請求、予告期間中の請求)
- e-Gov 法令検索:労働契約法16条 — 解雇は客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性を欠けば無効
- 厚生労働省:総合労働相談コーナーのご案内 — 対象の分野、面談・電話、予約不要・無料、労働者・事業主のどちらも、監督署への取り次ぎとほかの機関の案内
- 厚生労働省:個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん) — 3つの方法、無料、利用を理由とする不利益取扱いの禁止
2026年10月時点の条文と厚生労働省のページをもとにしています。










コメント